【コラム⑦】 「届けたい相手」 を明確にするということ【9/18更新】

杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、
広報・情報発信について考えていることをお伝えします。
自治体の広報に関わっていると、
「行政はすべての住民に平等に情報を届けるべきなので、
ターゲットを設定することには違和感がある」
という声を聞くことがあります。
行政情報は一部の人だけのものではなく、
広く知らせることが基本にあります。
そのうえで、誰もが必要な情報にアクセスできる状態にしておくべきだ、 という公共機関としての 「説明責任」や「情報を広く開いておくこと」への意識が 強く背景にあるように思います。
私も、
「行政はすべての住民に平等に情報を届けるべき」
という考え方そのものは、公共機関として当然のことだと考えています。 ただし、 「すべての人に情報を開いておくこと」と、 「誰に届けたい情報なのかを考えること」は別の話。
例えば、子育て支援制度の情報発信で考えてみましょう。
自治体のホームページなどで、誰でも確認できる状態にしておくことは必要です。
これは 「情報を広く開いておくこと」 という考え方です。
一方で、その情報を特に届けたい相手は、
妊娠中の人や乳幼児の保護者、その家族、
これから子育てをする世帯などでしょう。 そもそも支援制度は、 必要とする人に利用してもらうために実施するものです。
であれば、情報を公開するだけではなく、
本当に必要としている人に、その情報を届けること、利用してもらうこと
まで考える必要があります。 つまり、
情報はすべての人に開いておく。 そのうえで、事業ごとに 「特に届けたい相手」 を明確にする。
むしろ、
「全員に知らせよう」 とすることで、 結果として誰にも届かない情報になってしまうことがあります。
誰に届けたいのかが曖昧なままでは、
文章の内容も、表現も、使う媒体も決めにくくなります。
だから私は、自治体の情報発信を考える際に、
・情報を届けたい人は誰か?
・この事業は何のために行うのか?
・情報発信する目的は何か?
・伝えるメッセージは何か?
・その人にどうなってほしいのか?
を整理することが重要だと考えています。
「ターゲットを設定する」 という言葉は、 場合によっては 「それ以外の人を対象外にする」 という印象を与えるかもしれません。
しかし、自治体広報では、 [説明責任] と [情報を広く開いておくこと] を意識しながら、
「届けたい相手を明確にする」
と考える方が、実態に合っているように思います。
そして、届けたい相手を明確にすることで、
情報が届き、必要な人に利用される可能性も高まると考えています。
自治体広報に必要なのは、 「全員に知らせる」 ことだけではありません。
誰も情報から排除しないこと。 そのための配慮をすること。
そして、
必要な人に必要な情報が届くようにすること。 必要に応じて、利用や行動につなげること。
これらを両立させることが、 公共機関としての情報発信には求められているのではないでしょうか。 合同会社MACARONでは、 杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、
自治体向け広報研修やAI時代の情報発信支援を行っています。
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