

【コラム⑨】 チラシデザインは「つくる前」が一番大切(9/28更新)
杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、 広報・情報発信について考えていることをお伝えします。 自治体やNPO向けのチラシ研修というと、 「色は何色くらい使えばいいのか」 「どんな書体を使えばいいのか」 「見やすいレイアウトとは何か」 といった、デザインのテクニックを学ぶイメージがあるかもしれません。 もちろん、それらも大切です。 実際、色数を抑えること、書体を使い過ぎないこと、余白を意識すること、 情報を区切ることなどは、見やすいチラシをつくるための基本です。 これはデザイナーとして30年近く仕事をしてきた経験からも、 大切なことだと感じています。 しかし私は、 自治体やNPOがつくるチラシデザインで一番大切なのは、 「つくり始める前」に何を考えるか だと思っています。 これは自治体やNPOに限った話ではありません。 デザイナーも何かをつくるときには、 いきなりPCを使って手を動かすのではなく、 多くの時間を使ってアイデアやコンセプトを考えます。 「段取り八分、仕事二分」という言葉があるように、 実際に手を動かす前の準備が


【コラム⑧】AIを使えば、住民に「伝わる」ようになるのか?(9/24更新)
杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、 広報・情報発信について考えていることをお伝えします。 自治体でも、生成AIを活用する場面が少しずつ増えてきました。 文章の作成や要約、アイデア出しなど、 生成AIは情報発信の業務を効率化するうえで、 とても相性が良く、便利なツールだと感じています。 一方で、 生成AIを使えば、住民に「伝わる」情報になるのか。 というと、私は必ずしもそうではないと考えています。 例えば、 「この文章を分かりやすくしてください」 と生成AIに指示すれば、 文章を短くしたり、表現をやさしくしたりすることはできます。 しかし、その前に、 誰に伝えたいのか。 何を伝えたいのか。 なぜ伝える必要があるのか。 その人にどうしてほしいのか。 が整理されていなければ、 AIがつくった文章も、結局は 「それらしい文章」 で終わってしまいます。 生成AIが得意なのは、与えられた情報を整理したり、 表現を変えたり、文章のたたき台をつくったりすることです。 では、人が考え、判断すべきことは何でしょうか。 情報発信の目的を決


【コラム⑦】 「届けたい相手」 を明確にするということ(9/18更新)
杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、 広報・情報発信について考えていることをお伝えします。 自治体の広報に関わっていると、 「行政はすべての住民に平等に情報を届けるべきなので、 ターゲットを設定することには違和感がある」 という声を聞くことがあります。 行政情報は一部の人だけのものではなく、 広く知らせることが基本にあります。 そのうえで、誰もが必要な情報にアクセスできる状態にしておくべきだ、 という公共機関としての 「説明責任」や「情報を広く開いておくこと」への意識が 強く背景にあるように思います。 私も、 「行政はすべての住民に平等に情報を届けるべき」 という考え方そのものは、公共機関として当然のことだと考えています。 ただし、 「すべての人に情報を開いておくこと」と、 「誰に届けたい情報なのかを考えること」は別の話。 例えば、子育て支援制度の情報発信で考えてみましょう。 自治体のホームページなどで、誰でも確認できる状態にしておくことは必要です。 これは 「情報を広く開いておくこと」 という考え方です。..


日立市上下水道部にてAIを活用した情報発信研修を実施 (9/9更新)
最新の自治体向け広報研修を更新しました。 日立市企業局 上下水道部にて、 「AIを活用した情報発信研修」 を実施しました。 今回の研修では、生成AIの操作方法を学ぶだけではなく、 住民に“伝わる”情報発信にAIをどのように活用するかをテーマに 座学とワークを交えながらお話ししました。 【研修内容】(3時間) ・住民に情報が伝わるポイント ・なぜAI活用が必要なのか ・AI/生成AIの基本 ・AI利用で注意すべきリスク ・AIを活用した情報発信のポイント ・ワーク ・質疑応答 自治体では、住民ニーズや情報発信媒体も多様化し、 業務量が増える一方で、 より分かりやすく、迅速な情報発信が求められています。 こうした環境変化の中、生成AIを活用することで 文章の草案作成だけでなく、 発想する・整理する・分かりやすくする・見直す・効率化する など、 情報発信のさまざまな場面をサポートすることができます。 一方で、AIに丸投げし、 情報発信をすべて任せればよいわけではありません。 今回の研修で特にお伝えしたのは、 AIは 「道具」、人が 「主役」 である


【コラム⑥】 自治体広報で難しいのは、「行政情報を理解すること」(9/5)
杉並区広報専門監として現役で自治体広報に携わる谷浩明が、 広報・情報発信について考えていることをお伝えします。 今回のコラムでは 自治体広報で難しいのは、「行政情報を理解すること」。 について書いていきたいと思います。 自治体の広報では、 毎日のようにさまざまな部署から情報が広報部門に集まり、 その多くの情報は福祉、子育て、健康、税、防災、環境、まちづくりなど 多岐にわたります。 当然ですが、広報担当者がすべての制度や事業を 最初から詳しく理解しているわけではありません。 そのため、情報発信を考える前に必要になるのが、 「そもそも、この制度や事業は何なのか」を理解することです。 誰を対象にした制度なのか。 なぜこの事業を行うのか。 どのような条件があるのか。 どこが特に重要なのか。 住民は何をすればいいのか。 こうしたことが整理できていなければ、 文章を分かりやすくしたり、デザインを整えたりしても、 伝えるべき情報そのものが曖昧なままです。 発信された曖昧な情報は、曖昧なまま住民に伝わる可能性があります。 行政情報には、制度の目的、対